サイエンスパーク国際会議 次代のイノベーションを担う関西学研都市のミッションとその戦略についてけいはんな学新産業創出・交流センターは、
開設3周年を迎えました。
日時:2008年11月20日(木)
会場:講演会 けいはんなプラザ 3階大会議室「ナイル」
駐車場無料
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主催者挨拶 門野 秀行(国土交通省 大臣官房審議官)
ただいま、ご紹介いただきました国土交通省 大臣官房審議官の門野でございます。
皆様方には、国土交通行政、とりわけ「関西文化学術研究都市」の建設につきまして、ご尽力、ご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
ご承知のとおり、本学研都市は「関西文化学術研究都市建設促進法」に基づき、文化、学術及び研究の中心となるべき都市の建設を目指して、その整備を進めて参りました。
同法に基づく「基本方針」及び、地元自治体や経済界などが中心となって策定した「サード・ステージ・プラン」において、本学研都市は、国際研究開発拠点として世界各国の学術研究都市などと緊密に連携すること、さらには、外国人研究者の受け入れのためにも国際化に向けた都市環境を整備していくことが求められているところです。本日、開催させていただく「サイエンスパーク国際会議」では、海外の学術研究都市における国際交流をはじめとした国際化への対応などをテーマとして設定しております。 本日は、京都大学の松重教授をはじめといたしまして、サイエンスパークにおける実務的な経験や知見が豊富な方々に講演いただく予定にしており、国際的な視点から幅広い話題を提供いただくことで、大変意義深い会議になるものと考えております。 本会議が、講師の方々とのつながり・交流、さらには、学研都市を中心として国際的な産学官の連携を、積極的に展開していく契機になることを期待しております。 最後に、国土交通省といたしましては、今後とも学研都市の建設推進に努力して参る所存ですので、改めまして、関西の経済界や関係自治体をはじめとする地元関係者の皆様方の一層のご尽力をお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。 ![]() 主催者挨拶 竹内 剛志((社) 関西経済連合会 常務理事)
本日は、サイエンスパーク国際会議を開催いたしましたところ多くの皆様にお集まりいただき厚くお礼申し上げます。さて、けいはんな学研都市には、110を超える企業、研究機関、大学などの施設が立地し、6千人を超える研究者が、産学官の連携等により情報通信、ロボットテクノロジー、環境などの分野で世界をリードする研究開発を行っていらっしゃいます。ここでの研究成果は、企業や社会に還元され関西のみならず我が国、世界の発展に大きく貢献しておりますことは皆様ご案内のとおりであります。 今後、経済・社会のグローバル化がますます進展し、地球環境やエネルギー問題などが国境をこえて各国共通の課題となる中においては、学研都市が果たす役割はますます大きくなると感じております。その際、サードステージプランにも示されておりますように、学研都市のグローバル化を一層促進する必要がございます。 ここでグローバル化と申しますのは、2つの意味であります。ひとつは学研都市が海外のサイエンスパークといっそうの連携をはかり研究開開発、研究成果の事業化を促進することです。学研都市はすでに北京の中関村(ちゅうかんそん)と交流協定を結び、環境などの分野で具体的な連携を進めておりますが、こうした動きをさらに深化させ、広げていく必要がございます。 もう一つは学研都市に、より多くの外国からの研究者や外資企業にお越しいただき、学研都市そのものの多様化を図ることであります。そのためには学研都市においてより魅力的な研究環境や生活環境を整えていかなくてはなりません。 そういう意味で本日の国際会議において、アメリカ、中国、韓国から講師をお招きし、各国のサイエンスパークの現状や日本との連携方策についてお話を伺い、また外国からの研究者の皆様にご参加いただき学研都市の研究や生活環境について意見交換を行えることは、誠に重要で意義深い機会であると存じています。 関経連におきましても、外国の皆様に広く学研都市を知っていただこうと、先般、関西の12カ国の総領事館関係者を学研都市にご案内いたしました。学研都市でこれだけの研究機関が立地し、またそれぞれの国の研究機関との交流がされていることに大いに興味を持っていただいたところでございます。本日のような会議を通じまして、学研都市のさらなるグローバル展開が進みますことを期待している次第です。 本日は、講師や研究者の皆様と交流していただけるよう、懇親会もご用意しておりますので、最後までご参加賜りますようお願い申し上げます。そして本日の会議が皆様にとって、また学研都市の発展に向けて実り多いものとなりますよう祈念しまして私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。 ![]() 「けいはんな学研都市の近況」 稲田 進 (関西文化学術研究都市推進機構常務理事)
けいはんな学研都市は、法律等では、関西文化学術研究都市でいわれて、いわゆる愛称です。 30年前に京都大学奥田東総長が総長を辞められたあと、ローマクラブの提言などを読まれて、人類はこのままでは破滅するのではないかという危機感から学研都市の構想ができあがり、日本および世界の文化・学術・研究の展開拠点として、未来を拓く知の創造都市形成を理念にナショナルプロジェクトとして1987年に建設促進法ができました。1994年の関西空港開港に合わせた都市開きまでの建設初期、2002年開館の私のしごと館建設などの第2期を経て、2006年からスタートしたサード・ステージ・プランにおいて、持続可能な社会のための科学の推進など具体的なプランに沿って、2015年ごろの完成形を目標にインフラなどを整備しています。
2008年10月1日現在では、6千人を超える研究者が111の立地施設に在籍し、その7割以上が民間施設です。分野的には情報通信系の研究者が39%位、そのほか環境とか、ナノテク・材料という分野があります。ノーベル賞受賞者の南部先生と、小林先生もこの学研都市の国際高等研究所でフェローとして研究されました。
社会、経済情勢の変化で暫く滞っていた立地施設数も大阪府域にある津田サイエンスヒルズではすべて進出企業が決まるなど、企業の誘致は現在も順調に進んでいます。
また、文化学術研究地区の人口は22年間で4.9倍に増え、日本でも有数の人口増加率を誇っています。
先ほど少しふれましたサード・ステージ・プランは6つのポイントをもち、学研都市の見える化戦略として関係者で取組んでいるところです。
学研都市の近況をこれからの国際会議の背景説明としてご紹介しました。
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![]() 提起 「けいはんなにおけるグローバルサイエンスパークに向けた戦略」 松重 和美(京都大学教授 前副学長)
ここのけいはんなに学研都市は30年の歴史があるわけですが、さらにこれを発展させるという意味で、議論するという場がこの会議です。
けいはんな文化学術研究都市は、その名が示すとおり「文化」を創造するサイエンスパークを目指しています。心がわかるロボットのいうような他のサイエンスパークとは違うことをするのが、「文化」であり、そういう文化をどうするのか想起でもある。21世紀の世界では、技術革新だけでなく社会システムも含めた広い意味のイノベーションが求められています。分野についてもITであるとか、バイオであるとか、いろんな分野があるなかで先ほど紹介にあったように、けいはんな学研都市はいろんな多様な方、情報、バイオ、ナノテク、それから医療とか、いろんな方がおられますので、まずそれを認識のうえで、総合的に何でもやれるというのも一つの強みではないか。
京都議定書が採択された環境のモデル都市として、また、京都企業と称されるハイテクベンチャー企業を多数擁するサイエンスパークとして、例えば、環境ナノクラスター事業を中心に環境に特化する、あるいは、エコ・タウン構想を実現化させることで文化を創造する学研都市として発展することも可能です。そのためにも、国際連携だけ目を向けるのではなく、地域に根差した特色ある連携を産官学でおこない、世界に向けて情報発信をすることが重要であると考えます。
今日は、グローバルサイエンスパークけいはんな学研都市のあるべき姿を、みなさんでご議論ください。
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第1部 海外サイエンスパークの事例報告~サイエンスパークの国際交流~ コーディネータ: 松重 和美(京都大学教授 前副学長) ■「アカデミックリサーチとサイエンスパーク」 (研究・教育の融合と発展に向けてNSFの役割) マチ・F・ディルワース(米国大使館 米国国立科学財団NSF 東京事務所長、博士)
(報告要旨)
サイエンスパークとは、大学などの公的な研究機関と、一般企業の両方が人材の交換をしたり、リサーチパートナーとしてファシリティーなどの利用をする場です。そういう活動のなかから新しい企業が生まれたり、ディスカバリーできた知的財産をコマーシャリゼーションすることによって、雇用と所得のクリエーションにつながるというのが、サイエンスパークのコンセプトです。
サイエンスパーク成功の鍵は、世界レベルの学術研究組織、あるいは、それに類する研究機関とのコネクションです。産官学の研究機関は新たな知識、斬新なアイデア、専門的技術の根源であり、大学は次世代の研究者・科学者・エンジニアを生む源として欠くことができません。
ナショナル・サイエンス・ファンデーションのゴールは、新たな知識を生み出す源泉となるべく大学、研究機関をつくることです。配付資料はこちら
![]() ■「韓国のサイエンスパークと日本との連携」 金(キム) 京(キョン)洙(ス) (大韓民国大使館 公使参事官(商務官))
(報告主旨)
韓国のテドクイノベーションサイエンスパークは、けいはんな学研都市と同じ、IT、ナノテクノロジー、エネルギー、環境などの技術分野に特化しています。現在80億円ぐらいのベンチャーファンドをつくっていますが、どんどん増資する方向です。しかし、ハイクオリティーのテクノロジーが不足していて、研究開発をビジネスに転換させる一連のシステム構築が充分にできていません。今後は、オープンなかたちで海外を含めてイノベーションを追究し、ビジネスに成長させることを目指します。2010年にはサイエンスパークの世界総会にあたるIASPをテドクイノポリスで開催予定です。けいはんな学研都市とは協力関係にあり、両国の協力関係はますます深くなっています。オープンなかたちのイノベーションを促進し、サイエンスパーク同士の定期交流などをおこなうことで、ウィンウィンのプログラムが構築できるでしょう。配付資料はこちら
![]() ■「北京中関村科技園区発展状況ならびに関西文化学術研究都市との交流」 郭(カク) 鵬(ホウ)程(テイ) (北京中関村科技園区駐東京連絡処 主任)
(報告主旨)
中関村は、北京にある研究機関、大学、および企業のクラスター集積地で、20年ほど前に家電の取引などで自発的に発展してきた場所です。北京市にあるハイテク企業のほとんどがここに進出し、2007年時点で2万社、フルタイム従業員が82万人、1千220億ドル以上の売上があります。われわれの扱う分野は、けいはんな学研都市と連携するエネルギー・環境保護、ハイテクを用いた現代農業、ゲームなどの創意産業(文化産業)です。予算を国から優先的に配分される国家重点大学も中関村に集中しているため、絶えず若い人材が輩出されています。 中関村は、けいはんな学研都市と2005年に合作協定を結び、大学、研究機関、企業の連携を強化しました。2007年、2008年の連続でソーラーエネルギー、水処理技術などについての日中環境フォーラムを開催し、今後の発展を期待しています。配付資料はこちら
![]() ■全体討論
米国のサイエンスパークの成功は、各機関を横断的につなげる人材によるところが大きい。これは日本の学研都市に不足している部分です。韓国のテジュンは、ソウルから200キロも離れた立地が発展の妨げになっていましたが、住宅地域と一体となった研究都市整備を進めた結果、その問題点も克服しつつあります。学研都市には、住環境も含めたインフラの整備が必須条件だということです。 中国の中関村では、企業が発展したあとの技術更新を軽視しているため将来が不安です。企業の永続的発展のために、フロントランナーとなった技術にこそイノベーションが必要です。国・大学・企業が積極的に投資をおこない、大学で生まれたものをうまく企業化することで、サイエンスパークは成長することができるのです。各国のサイエンスパークが連携し、具体的なターゲットを絞った活動をおこなうことで、それぞれが刺激を受け成長の糧になっていくことでしょう。 |
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| 第2部 サイエンスパークの研究環境と生活環境 <コーディネータ> 松重和美(京都大学教授 前副学長) ■話題提供者(順不同) ・佐藤 礼華(大阪電気通信大学デジタルゲーム学科 准教授) ・今井 一宏(同志社国際中学校・高等学校 教頭) 配付資料はこちら
・張(チョウ) 兵(ヘイ) ((独)情報通信研究機構 けいはんな研究所 主任研究員、博士)・ディラングラス((株)国際電気通信基礎技術研究所知能ロボティックス研究所研究員) ・鄭(ジョン) 吉(キル)秀(スー)((株)国際電気通信基礎技術研究所 波動工学研究所研究員、博士) ・ユー トーマス エディソン チュア(奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科院生) 配付資料はこちら
![]() ■ a. けいはんな学研都市における研究環境と生活環境 (発言から) ・けいはんなの研究環境としては、学研都市内にATR、NTT、NICT、奈良先端大学など多くの研究機関が集まっているので、いくつかの異なったコミュニティーをつくることができます。 ・近くにはお寺などの文化遺産がたくさんあり、日本の文化・歴史に触れることもでき、素晴らしい環境です。 ・生活面では、救急病院が遠いため、公共交通機関しか利用できない人にとってはつらいものがあり、妊娠・出産まで考えると医師不足なので心配です。病院の先生が英語以外の外国語を話してもらえるようになれば、非常に助かります。 ・日本の教育は詰め込み過ぎの感があるので、子どものために帰国まで考えることがあります。 ・日本では企業などで働く女性の姿が少ないので、女性が楽しみながら働ける社会になればいいと思います。 ・最近の不景気で研究費がカットされ、この学研都市から企業が撤退していくのを寂しく見ています。 ・京田辺市に立地する同志社国際中学校・高等学校では日本への帰国生徒の受け入れ、生徒の特質を生かした習熟度別授業などで専門教育をおこなっています。2011年に当地区で開校予定の12年制インターナショナルスクールなどによって、世界トップレベルの教育環境の実現を目指します。
![]() ■b. サイエンスパークと市民の連携促進。また、女性研究者から見たサイエンスパーク ・ネットワークいこま、せいかグローバルネットなどのNPOが主体となって、外国人留学生とか、研究者などの方々に日本語を指導したり、病院への付き添い同行サービスをおこなっています。 ・けいはんなビルの国際交流サロンにおいては、平日の9時から17時まで生活相談と日本語レッスンを無料で開催しています。研究員の家族でなかなか遠いところへ行けない方には、こちらからお宅にお伺いして1対1で日本語のレッスンや生活相談に乗ることもあります。また、生活の匂いがするコミュニティーということで、各国、お国自慢の料理大会、遠足、クリスマスパーティー、スピーチ大会などで交流をしています。 ・学校、研究機関主体の交流を中心に研究者と連携するばかりではなく、その人たちが生活する地域住民とのコミュニティーも重要です。直面する問題を解決するための交流ばかりではなく、バンド活動など、個人が人生を楽しむための交流も活発にしたいものです。 ![]() ![]() ■c 海外研究者・留学生が考える母国との人材交流 ・けいはんな学研都市は、外国に向けてり積極的に宣伝されていないので、海外の学生が学研都市の研究環境を調べる方法が少ないと感じます。外国語で表示されるインターネットのホームページが少ないことを見ても、日本の国際化が充分ではありません。 ・留学生呼び込みの新たな試みとして、奈良先端科学技術大学院大学では、交通費と宿泊代を提供して海外の学生に大学の研究室で実習してもらう数週間のインターシップを実施しています。そのうちの何人かが、日本の大学に入学したり、文部科学省の国費留学生となるなど着実に成果が出ています。 ・京都府では外国人留学生人材活用プランを策定し、能力を開花していただきながら地域活性化につながるような仕組みを検討中です。 ・留学などで来日された海外の人たちが、最終的には日本の企業に就職するなど、最後まで面倒を見るシステムづくりなどの活動がどんどん広がっていけば、けいはんな学研都市の評価は上がっていくでしょう。 ・大阪電気通信大学は去年から、中国の江南大学とダブルディグリのコースを設立。中国で1年半勉強してあと(来年度から)3年間こちらのアニメーションとゲーム学科で勉強することになります。これから中国の留学生が来たら、学研都市を見学するだけではなくて何かプロジェクトに参加する環境があるといいのですが。 ![]() ■ 研究支援、公的支援について ・奈良先端科学技術大学院大学で2006年に始まった"Increasingly Ubiquitous"プロジェクトでは、文部科学省からのサポートで、エクセレント・スチューデント・プログラムという学費が免除される特待生制度をおこなっています。 ・大阪電気通信大学では、2003年にデジタルゲーム学科が開設され、2004年からはカナダのシェリダン大学と短期の交換留学を実施しています。留学生のなかには、日本が大好きになってこの学研都市の近辺にある研究所に入る人も出ています。文化も含めて日本の研究環境をきちんと留学生に紹介できれば、よい印象を持ってくれるでしょう。 ・国の研究機関では予算がどんどん減っている状態にあって、外国人を受け入れると言いながらも、それに対して特別な予算措置は取られていないように感じます。外国人を、研究機関、企業、大学が共通して受け入れる体制づくりが必要です。
■まとめ けいはんな学研都市は、最先端の研究機関が多く集中し充実した研究環境にあるが、海外研究者への情報発信が不充分であるために、吸引力が不足しています。海外の学生が日本を理解し、将来の活躍の場として選んでいただけるように企業のインターンシップ制度の整備が必要です。外国人居住者へは、NPOによる語学支援プログラムなどを提供しているが、単発的であるため、機関が連携したサービス提供が望まれます。外国人研究者が入居する際の手続き等の煩雑さをなくすためのよろず相談、ワンストップサービス的なものの整備も急務です。 国際的な連携を進めるという意味では、研究者本人の環境を考えるだけでなく、その家族、さらには新しく生まれてくる子どもたちが適切な教育を享受できる環境を整えて、世界的に成功できるサイエンスパークに発展すべく本日いただいた具体的なテーマ、課題に対応していかなければいけません。 注: 各講演者の発言要旨、発言個所の文責は、すべて本国際会議の 事務局(関西文化学術研究都市推進機構)にあります。 |